秋が深まってくるとそろそろ柿がおいしい季節。
糖度が高くてあま~い柿ですが、柿を食べると体を冷やすって聞いたことありませんか?
それでも「柿が赤くなれば医者が青くなる」と言われるほど、栄養がとても豊富な柿。
柿が体を冷やすというのは本当なのか、一日にどれくらい食べればよいのか・・・
柿に含まれる栄養素も一緒にみていきましょう。
柿は体を冷やすってホント?
秋になると、木がしなるほどたわわに実る柿。
あまく熟した柿はとってもおいしいですよね。
「柿が赤くなれば、医者が青くなる」
と言われるほど栄養価の高い柿ですが、柿って体を冷やすというのもよく聞きますよね。
それって、本当のところはどうなのでしょうか。
カリウムによる利尿作用
「カキを食べると体を冷やす」と言われるのには、ふたつの説があげられます。
そのひとつは、柿を食べすぎるとトイレが近くなることから、そのように言われるようになったという説。
柿はミネラルが豊富ですが、なかでもカリウムを多く含んでいます。利尿作用のあるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排泄し、むくみをとったり血圧を下げる効果もあります。
柿タンニンが冷えの原因に
また一説では、柿の渋み成分のタンニンを摂りすぎることで、貧血が起きてしまう可能性があることから、柿は体を冷やすと言われるようになったのではないかというもの。
柿のタンニンは、体内で鉄分と結びつくと、鉄分の吸収を低下させてしまうのです。
冷え性の大きな原因のひとつが貧血。
貧血になり赤血球が少なくなると、体中に酸素がうまく行き渡らなくなり、血液の流れも悪くなってしまいます。その結果、血行不良による冷えが起きてしまうため、「柿は体を冷やす」と言われるようになったのだと思われます。
このようなことから、実際に柿が直接体温を下げてしまうわけではなく、寒い時期に柿を食べ過ぎると頻尿になったり、貧血の原因になることもあるので注意しましょう、ということ。
特に鉄分は、女性にとってしっかり摂りたい栄養素です。鉄の吸収の妨げになり、さらには冷え性にならないように、柿は一日に1、2個にしておきましょう。
柿タンニンにはメリットもある
柿の渋み成分のタンニンは、ポリフェノールの一種。
柿を切ってみると黒い斑点がありますが、この黒い斑点がタンニンと呼ばれるものです。
タンニンは、渋柿にはもちろん甘柿にも含まれ、タンニンが酸化して黒くなると渋さがなくなります。渋柿は干し柿にするとおいしく食べられますよね。
さて。鉄分の吸収を妨げるタンニンですが、昔から二日酔いに効くとも言われています。
10/26の今日は「柿の日」。柿に含まれるタンニンがアルコールの吸収を妨げたり、二日酔いの元凶アセトアルデヒドを分解してくれるので悪酔い予防や二日酔い対策に効果的。さらに豊富に含まれるビタミンCやベータカロテンが肝臓の働きを高めてくれたりと、酒呑みにとっていい事ずくめ♥ pic.twitter.com/6wMgYwk9Pm
— 日本名門酒会 (@meimonshu) October 26, 2017
タンニン系ポリフェノールのシブオール。
渋み成分のシブオールは、アルコールによって生じるアセトアルデヒドと結びつきやすい性質と、排出を促す働きを持っています。
このシブオールと、柿に含まれるビタミンCや酵素との相乗効果によってアルコール分解を助け、ここにカリウムによる利尿作用も加わり、つらい二日酔いや二日酔いの防止に効果を発揮してくれるのですね。
柿を食べながらお酒を飲むことで、アルコールがより分解され、アルコール濃度が一番多く減少することがわかっていますが、飲む前やあとに柿を食べても効果があり、二日酔いの症状を緩和してくれるのだとか。
むくみや血圧を下げる効果のあるカリウムや、二日酔いに効くと言われる柿タンニン。
そのほかにも嬉しい栄養素が含まれているんですよ。
柿に含まれる栄養素
柿を食べると、医者が青くなると言われるほど、栄養がたっぷりつまった柿。
ミネラルのなかでも豊富に含まれるカリウムや、ポリフェノールのタンニンについてはさきほどお話しましたが、そのほか柿のどの品種にも、ビタミンCやβカロテン、食物繊維などの嬉しい栄養素がたくさん含まれているんですよ。
ビタミンC
ビタミンCの豊富な果物TOP3のレモンに次ぐのが柿。
日本食品標準成分表によると、生の甘柿100g中に含まれるビタミンC量は70mgです。
ビタミンCの一日の推奨量は100mgですが、柿は1個200~250gほどの重さなので、柿をひとつ食べれば一日に必要なビタミンCが十分補えるほどです。
また、ビタミンCには抗酸化作用もあり、寒い季節の風邪予防にも効果がありますし、健康だけでなく美容にも欠かせない栄養素。夏の紫外線でダメージを受けたお肌にもビタミンCたっぷりの柿は嬉しいですね。
さらに、ビタミンCは柿の葉にも多く含まれていて、なんとレモンの10倍~20倍なんだそう。
特に、プロビタミンCという特別なビタミンCは、熱や水にも強く、柿のシーズンではないときも柿の葉茶を淹れて飲めば、ビタミンCやミネラル、ポリフェノールといった大切な栄養素を、手軽においしく摂取することができますよ。
βカロテン
柿には、ビタミンCのほかビタミンAも豊富。
体内でビタミンAとして働くβ-カロテンをはじめ、β-クリプトキサンチンも多く含まれます。
β-クリプトキサンチンは、恩讐みかんやパパイヤ、柿などの果物に含まれるカロテノイドの一種で、生活習慣病のリスク低下などさまざまな健康効果があることが明らかになってきている、いま注目されている健康成分。血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高いと、骨粗しょう症の発症リスクが低下することもわかっていて、とても頼もしい成分なんです。
β-カロテンやβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイドは、私たちの体内でつくることができないので、おいしい柿を食べてカロテノイドを摂取できるのは嬉しいですね。
また、β-カロテンは、ビタミンAに変わると粘膜を保護し、ウイルスから私たちの体を守ってくれますし、抗酸化作用や免疫力をアップする働きも。風邪やインフルエンザが気になる季節には、ぜひ意識して摂りたい栄養素のひとつです。
食物繊維
柿100g中に含まれる食物繊維は約1.6g。
不溶性食物繊維が1.4g、水溶性食物繊維は0.2gです。
不溶性食物繊維は、胃や腸のなかで水分を吸収して大きくふくらみ、それによって腸の動きを活発にさせる働きがあります。便秘の予防や改善に効果があるほか、有害物質を吸着して便と一緒に排出してくれる不溶性食物繊維ですが、ひとつ注意点も。
便秘の人が不溶性食物繊維を摂り過ぎると、さらに便秘を引き起こすおそれがあります。
通常の食事では、不溶性食物繊維を摂り過ぎるということはまずないと言えますが、水分もしっかりとることや、海藻やきのこ類などに多く含まれる水溶性食物繊維とのバランスも意識してみるとよいですね。
また、渋み成分のタンニンには便を固める性質があり、これが便秘を引き起こす原因に。
タンニンには整腸作用があるので、下痢を抑えてくれる効果もあるのですが、食べ過ぎてしまうと便秘のもとにもなりかねなません。
とは言え、一日に1〜2個食べる分にはタンニンの過剰摂取にはならず、便秘予防にも効果的なので、量を守って食生活に上手にとり入れていきたいですね。
農林水産省の食事バランスガイドで示されている果物の量は一日2つ。柿だけ食べるなら、2個までにしておきましょう。
おわりに
秋が深まり、たわわに実る柿を見ると嬉しくなる私。
干し柿も好きで、毎年たくさんの柿の皮むきをして、冬のあいだ一日1つずつ楽しみます。
柿を食べると体を冷やすと言うのは、柿がおいしい寒い時期に食べ過ぎると、カリウムの利尿作用でトイレが近くなることや、渋み成分のタンニンが鉄分の吸収を妨げることから、貧血により体の冷えにつながるため、食べ過ぎはよくないという注意なのですね。
それでも、医者が青くなると言われるほどの柿。
抗酸化作用のあるポリフェノールや、ビタミン・ミネラル、食物繊維も豊富です。
あまくておいしいのでついつい食べ過ぎてしまいそうですが、一日1、2個を目安に、秋の味覚をおいしくいただきましょう。