もみじとかえで(紅葉と楓)の違いはコレ!名前の由来や紅葉の種類も

秋は紅葉が美しい季節。もみじ狩りが楽しみですね。
黄色に色づくイチョウもきれいですし、真っ赤に紅葉したもみじには目を奪われるほど。
ところで、もみじとかえでの違いってご存知ですか?
それとも、もみじとかえでは同じものなのか・・
気になるもみじとかえでの見分け方や、名前の由来、もみじの種類などもご紹介します。

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もみじとかえでに違いはある?

秋の紅葉の代表とも言える真っ赤なもみじ。
子どものころ輪唱したもみじの歌も懐かしいですね。

明治44年に発表されたもみじの曲の1番には、もみじ(山紅葉)とかえでが登場します。

秋の夕日に 照る山紅葉(もみじ)
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる 楓(かえで)や蔦は
山のふもとの 裾模様

もみじ(作詞:高野辰之 , 作曲:岡野貞一)

いままでなんとなく、もみじとかえでは別の植物だと思っていたけれど、実はもみじとかえでは同じもの、とか、コレはもみじではなくかえでです、とかいう話を耳にすることも。

はてさて、もみじとかえでは同じものなのか?
それとも、なにか違いがあるのでしょうか。

もみじとかえでの違い

もみじとかえでは、植物学的には同じ植物。
植物分類上では、もみじとかえでは区別されません

もみじもかえでもカエデ科(現ムクロジ科)カエデ属に属し、どちらも植物学的にはカエデ

でも実際には、○○もみじとか○○かえでと名のついた品種名の植物が数多くありますよね。

これはどういうことかと言うと、もみじと呼ばれている樹木も、分類学的にいえばかえでの一種であり、かえでという大きなくくりのなかに、もみじという種の群があるというイメージ。

つまり、もみじは園芸の世界での名前であって、植物分類上はどちらも同じかえでですが、園芸ではふたつを明確に分けて区別している、というわけなのです。

もみじとかえでの園芸上の違いや見分け方

それでは、園芸ではどのように区別しているのか・・
それは、単純に葉の見た目で分けられています。

もみじとかえでの違いは葉の切れ込みの深さ

具体的には、葉に5つ以上の切れ込みが深く入ったものをモミジと呼び、葉の切れ込みが浅いものがカエデ。このように、カエデ属の葉の切れ込みによって、もみじとかえでの区別をし使い分けているのですね。
 

もみじとかえでの種類

葉の見た目で園芸上区別されるもみじとかえで。

葉に深い切れ込みが入ったもみじには、イロハモミジやヤマモミジなどがあります。
 

それに対し、切れ込みが浅いかえでには、
ハウチワカエデやイタヤカエデなどがあります。
 

こちらは、トウカエデという品種です。

また、カナダ国旗に描かれたメープルの葉も、サトウカエデというかえでになります。

もみじと呼ばれるカエデの種類

日本に約35種自生するといわれるカエデ属の植物。
一般に、モミジと呼ばれるイロハモミジなど、ヤマモミジ系の3つの品種をご紹介します。

イロハモミジ

モミジの代表種のイロハモミジ。
イロハカエデとも言われます。

イロハモミジの学名は、Acer palmatum。
深い切れ込みが入り7つに裂けた葉を、いろはにほへと・・と数えたことが名前の由来です。


葉の大きさは4~7㎝くらい。
イロハモミジは、鮮やかな赤に紅葉します。

外周のギザギザは不規則で粗く、二重の重鋸葉。先が細長く伸びているのが特徴です。
別名は、タカオモミジ・タカオカエデと言い、これは京都の高雄に多いことからきています。

一般に、もみじと呼ぶ場合はイロハモミジを指し、
次のヤマモミジは、イロハモミジの変種になります。

ヤマモミジ

イロハモミジの変種であるヤマモミジ。
学名は、Acer palmatum var.matsumuraeです。


葉の形はイロハカエデとよく似ていますが、長さが5~10㎝とひと回り大きいです。
外周のギザギザが二重の重鋸葉は不揃いで、7~9中裂した葉の先は長く尖っています。

ヤマモミジは紅葉するものが多いですが、個体によっては黄葉するものもあります。

オオモミジ

オオモミジも、イロハモミジの変種。
学名は、Acer palmatum var.amoenumです。

葉の縁は一重の細かい単鋸歯で、イロハモミジとは違い、規則的に揃っているのが特徴。
葉の裂片数は7つにさけるものが多いようです。


葉の大きさは7~12㎝と大きいので紅葉の見応えも◎
葉の裂け目が大きいことから、別名ヒロハモミジ(広葉モミジ)とも言われます。

ヤマモミジと同じく、オオモミジも紅葉したり黄葉したりと個体差が大きく、一本の木に紅葉と黄葉が織り成すさまは、まるで源平絵巻を見ているかのようと珍重されています。

もみじとかえでの名前の由来は?

さて。なぜ、もみじやかえでという名がついたのか、
それぞれの名前の由来は何なのでしょうか。

まず、もみじの由来となった言葉は「もみず」。
もみず(紅葉づ、もみづ)とは、草木の葉が赤や黄色に色づくという意味の動詞で、その連用形の「もみぢ」が変化し、葉が紅葉することや、もみじそのものを指す言葉となりました。

一方かえでは、カエデ属に分類される葉の形がカエルの手に似ていることから「かへるで⇒かえで」と呼ばれるようになったと言われています。

万葉集にも登場するもみじとかえで。
万葉集でも、もみじとは本来、イロハモミジやオオモミジなどの品種を指す言葉ではなく、草木が色づくさまを表し、このような植物はすべてかえで(かへるで)と呼ばれていました。

時が経ち、もみじが紅葉の代表として認識されるようになってきてからは、紅葉するさまを表す「もみぢ」が、名前としての「もみじ」に置き換えられるようになりましたが、もともとは、かえでの葉が紅葉して色づいた状態をもみじと言うのですね。

もみじとかえでを区別するのは日本だけ?

もみじは、英語ではJapanese maple。
直訳すると、日本のカエデとなります。

外国では、カエデ属の植物はすべてメープル。
もみじとかえでを区別するのは日本だけなのだそう。

日本には、古くからもみじ狩りの習慣があるように、色づいたかえでをもみじと呼んでいた背景には、色彩に対する日本人の繊細なこころがあったからかもしれませんね。

おわりに

植物学的には、かえでともみじに違いはなく、分類上もみじはかえでの一種ということ。

むかしから、紅葉したかえでをもみじと呼んでいたのですが、現代の園芸や盆栽の世界では、葉の切り込みの深さの違いによって明確に区別されているため、もみじと呼ばれるものやかえでと呼ばれるものがあるということでした。

もみじやかえでには園芸品種がとっても多く、イロハモミジやハウチワカエデなど、日本産の種に属する品種が200~400品種あると言われています。

見分けるのはちょっぴり難しいかもしれませんが、違いについてはあまり深く考えず、感性のままに秋の美しい紅葉を目に焼き付けてみてはいかがでしょうか♪

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