肘笠雨(ひじかさあめ・ひじがさあめ)ってどんな雨?名前の由来は?

雨のよく降る季節。梅雨明けが待ち遠しいですね。
四季を通して雨の多い日本には、雨の名前や雨を表すことばがたくさんあります。
400種類以上あるという雨を表す日本語のなかから、今回は肘笠雨についてご紹介します。

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肘笠雨とはどんな雨?由来は?

あまり聞きなれない雨のことば、肘笠雨。
肘笠雨ってどんな雨のことを表しているのでしょう。

夏の夕立など、急に降りだした雨。
傘がなくて雨に濡れ、困ったことはありませんか?
そんなときに使われることばが肘笠雨です。

肘笠雨とはにわか雨のこと。肘雨とも言います。

突然の雨に笠をかぶるひまもなく、とっさに肘を頭の上にかざして、袖を笠の代わりにする様子が由来となっています。

肘笠雨とは、そのように肘を傘代わりにして雨をしのがないといけないくらい、急な雨のことを表したことば。突然にわか雨に降られた人の姿をとらえた風情のある日本語ですね。

夏の半袖の季節には、肘をかざしてもあまり傘の代わりにはならなさそう。現代では、バッグを頭の上に持ってきて・・という感じでしょうか。

それでも、着物の袖をかざしたなら、笠のように雨をしのげたのかもしれません。

この肘笠雨というちょっと粋な雨の名前は、平安時代の源氏物語にも登場するんですよ。

源氏物語に登場する肘笠雨

肘笠雨とは、実はとても古くからある日本語。
源氏物語のなかで、須磨の巻に登場します。

ひぢかさあめとか降りきて
いとあわたたしければ
みな帰りたまはむとするに
笠も取りあへず

源氏物語 須磨

肱笠雨とかいうものが降ってきて、とても慌てて
皆がお帰りになろうとしても、笠も間にあわない

といった意味になりますが、
突然、肘笠雨が降ってきたけれど、みんな笠をとる暇もなく、笠の代わりに肘で雨をしのいだ。そんな情景が浮かんできますね。

源氏物語は、紫式部の長編物語作品。
平安のころより使われていた肘笠雨という雨の名前を、現代でもぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

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